通信技術
スマート農業は通信技術が支える!
スマート農業は、「情報にもとづく農業」です。そこでは、たとえば水田の水管理を自動化しようとする場合、水温や水位の変化の情報が必要になります。さらに、車両ロボットの自動走行のためには常に変化し続ける位置情報が必要ですし、離れたところにある管制センターに車両ロボットからの映像がリアルタイムで送られなければなりません。これらのデータや情報を農地でやり取りするには無線通信が最適で、その中でも「5G(ファイブジー)」が注目されています。
3つの特徴がある5G
現在スマート農業の開発においては「産官学連携協定」が結ばれ、通信技術の開発に関しては民間企業からNTT系列が参加しています。以下、NTT系列の5Gを中心に見てみましょう。まず、5Gは「高速・大容量」「低遅延」「多数端末接続」の3つの特徴をもっています。こうした特徴は、たくさんの情報を、時間をかけずに、なるべく多くの人たちに伝えるという通信の目的を実現するものです。
高速・大容量を達成するには?
無線通信では、大量の情報をなるべく速く伝えなければなりません。NTTドコモの「5G」では、4G(第4世代)以前よりも高い周波数を使い、帯域幅を広くし、豊富な周波数の領域を使用することで、高速・大容量を実現しています。ただし、周波数が高くなるほど電波は遠くまで伝わらなくなるので、途中に中継の基地局を設置する必要があります。
高速化を実現する3つの技術
5Gでは高速化のために3つの技術を使っています。いくつかの周波数を束ねて高速化する「キャリアアグリゲーション(CA)」、複数のアンテナの間でデータを送受信して高速化をする「MIMO(マイモ)」、そして電波の振幅と位相を細分化して情報量を増やす「QAM」です。
低遅延と多数端末接続は、これからの実現に期待
5Gによって「高速・大容量」が実現されていますが、いっぽうで今後の課題として「低遅延」と「多数端末接続」というテーマが残されています。遅延とは「データを要求してから最初に到達するまでの時間」のことで、経路にある伝送装置などの各部での遅延が積み重なって生じます。現在、サーバを端末近くに置く「MEC」という技術で、低遅延の実現を目指しています。一方の多数端末接続は独自の技術の開発が待たれていて、4Gの技術が活用されています。