マシンビジョン
マシンビジョンは、どのように色をあらわすか ──RGB色空間
車両ロボットなどが雑草と作物を見分けたりする時、カラーのデジタル画像による機械の目、「マシンビジョン」を使います。マシンビジョンでは、色を光の三原色である赤(R:レッド)・緑(G:グリーン)・青(B:ブルー)の三色の組み合わせとして認識し、これを「RGB色空間」といいます。私たち人間は「緑は草」と直感的に判断しますが、RGB色空間では、機械は緑という色を「赤成分146、緑成分179、青成分115」というように数字データで処理します。
マシンビジョンはどうやって色をあらわすか ──HSV色空間
色のあらわし方としては、RGB色空間のほかに「HSV色空間」があります。これは「色相(Hue)」「彩度(Saturation)」「明度(Value)」の値の組み合わせでさまざまな色や色の状態をあらわすものです。色相は色の違い、彩度は鮮やかさ、明度は明るさをあらわします。HSV色空間では、たとえば葉と土を見分ける際に「色相の数値が120前後なら緑」というふうに見わけます。
画像処理の基本 ──2値化とラベリング
マシンビジョンで画像をとらえる際には、色だけが判別の材料ではありません。たとえば、マシンビジョンの画像に映っている作物の葉をコンピュータに分析させる時、背景にある地面の画像データは不要なのでとり除きます。このように、必要な対象物を残して不要なものを除く処理を「2値化(にちか)」といいます。そして、2値化によってできた「かたまり」ごとに、コンピュータが識別しやすいように番号を付ける「ラベリング」を行います。
画像処理の基本 ──形状特徴量・テクスチャー
コンピュータは、「丸っこい葉っぱ」や「ギザギザの付いた葉っぱ」というあいまいな表現は理解できません。コンピュータでは、画像処理をする際に「形状特徴量」を使います。たとえば面積が同じでも、周囲の長さがギザギザであるほうが輪郭が長いことから「周囲の長さ÷面積」で数値を出して形を判断します。ほかに形状特徴量には「長径÷短径」や、重心の位置から見る「2次モーメント」などがあります。この他の画像処理としては、画像の模様を認識する「テクスチャー」があります。
デジタルカメラ以外の画像もいろいろある
おなじみのデジタルカメラの画像以外にも、いろいろな種類の「画像」があります。赤R・緑G・青Bの色情報の他に距離Dを加えて奥行きの情報を持つ「3次元画像」では、奥行きを色で強調することもできます。このほかスマート農業では、R・G・Bだけでなく、近赤外線のデータを加えた「マルチスペクトル画像」が使われ、作物の成長ぐあいを示す「正規化植生指数(NDVI)」の計算の際に用いられます。